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Rintaro Akamatsu Piano Collection Vol.8
Lustig - Traurig

2022/12/23発売

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定価

発行日

レーベル

配信サービスによる

2022年12月23日

Office La PARADE

情報

収録日=2020年10月27日~29日

収録場所=sala arietta
使用楽器=Steinway B-211
エンジニア=原浩一
調律=松川亮

形態

インターネット配信https://lnk.to/PianoCollection_Vol_8

喜び-悲しみ

ロマン・ロランが取り上げて以来広く知られるようになった「苦悩を突き抜けて歓喜へ」という一節は、たしかにルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンという作曲家の音楽をよく表している。事実、私たちは彼の作品をそのようなふたつの極の相剋のドラマとして聴く。たとえば《運命》や「第九」を耳にした時、もはやそのようなストーリーを思い浮かべないことの方が難しい。こんにちなおベートーヴェンの音楽が享受されているのは、それが人間賛歌として聴かれているからだろう。 

とはいえそれがベートーヴェンのすべてだと言い切ってしまうのは早計に過ぎる。そこからこぼれ落ちてしまうものもまた、あまりに豊かだからだ。赤松林太郎のアルバム《Lustig – Traurig》は、そのひとつの証左となるだろう。《悲愴》を核に散りばめられた小品たちは、私たちにベートーヴェンの別の聴き方を教えてくれる。それはいわば「苦悩」と「歓喜」の間を聴くことだ。

たとえばソナタの演奏には、もちろんベートーヴェン的な物語を聴くことができる。若き天才の野心と情熱が、赤松の熟練によって余すことなく表現されている。知・情の両面における探求が結実した、忘れがたい演奏だ。だが同時に本盤のユニークさはその選曲にある。冒頭のバガテル「喜び-悲しみ」にはじまり、後年のピアノ小品に至る流れのなかで聴かれるならば、この大ソナタもまた別の顔を見せてくれるだろう。ベートーヴェンと出会う、ちいさな旅がはじまる。
〔新野見卓也〕

CD/ALBUM

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